学科と実技の2つがある!保育士試験の内容とは?

保育士試験を受験しようとお考えの場合、受験資格を満たしているかどうかを確認し、問題がなければいよいよ合格に向けての学習に着手していくことになるでしょう。学習を始める前に、合格に向けてのスケジューリングをしていくためにも、具体的な試験内容をしっかり把握しておくことが先決となります。

まず保育士試験は年に1回のみ行われます。試験は学科試験と実技試験の2段階に分けて行われ、学科試験の全科目をクリアした人だけが実技試験に進むことができます。例年、学科試験は8月上旬に2日間に分けて行われ、9月に合否の発表があります。実技試験は10月に1日で行われ、最終的な保育士合格の発表は12月となります。

学科試験は8科目ありますが、合格の有効期間は合格してから2年間で、科目ごとに期間が設定されています。例えば、今年初めて試験を受け、学科試験が8科目中5科目で合格したという場合、その5科目は来年、再来年に行われる試験までは受験が免除され、2回分の試験に限り、受験するのは3科目になるというわけです。

前述のとおり、学科試験には9科目があります。すべての科目にはそれぞれに特色があり、試験範囲の広さを感じることでしょう。では、8科目の内訳を見てみましょう。

まずは保育とは何かという本質から保育所保育、保育所保育指針など保育を幅広い視点で見ていく「保育原理」があります。また、保育士というのは福祉の仕事であることから、福祉について幅広い知識を問う「社会福祉」、そして児童の家庭における福祉についての「児童家庭福祉」の科目もあります。さらに教育とは何かという基礎的な理論を問う「教育原理」や児童の教育とともにきちんと養護していくという原理・原則を問う「社会的養護」の科目があります。「教育原理」と「社会的擁護」は2科目で、1科目と言うくくりになっています。

以上の4科目はいずれも教育や保育、福祉といった根本的な部分の知識を問うものですが、残る4科目は実際の保育の現場に携わるに当たって、知っておかなければならない知識を問うものになっています。

「子どもの食と栄養」は栄養学の基礎となる部分から、子どもに特化した食生活や栄養についての知識が対象となります。「子どもの保健」では子どもが発症しやすい病気や起こしやすい事故に対する対応や対策に関する知識が問われます。「保育の心理学」は子どもに限らず、生まれてから死ぬまでの人間の一生における心の動きや成長についてがテーマになります。最後に「保育実習理論」は音楽、絵画、言語と最も実践的で実技試験にも活かせそうな内容からの出題となっています。

8科目の中で、「教育原理」と「社会的擁護」の2科目は、2つで1科目の扱いで、それぞれ30分の制限時間となっており、問題数も他の科目の半分である10問ですが、ともに6割以上というのが合格ラインとなっています。またその他は60分の制限時間で20問出題され、合格ラインも同じく6割です。

この学科試験をクリアすると、音楽、造形、言語の3科目の中から2科目を選んで受験する実技試験を受けることになります。音楽は指定された課題曲をピアノやギターなど指定の楽器で弾き語りをします。言語は昔話や童話を3分間と言う制限時間内に口演します。造形は45分の制限時間内に、当日発表される課題に関して色鉛筆などを用いて絵を描きます。

このように保育士試験は多くの科目から成り立っています。学習するに当たって、それぞれの科目ではどんなことを学ぶ必要があるのかをざっくり把握しておくことも、最初の取り組みとしては重要だと言えるでしょう。